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近年、税理士への損害賠償が急増しています。
税制の複雑化により単純ミスが出やすくなっているということもあるのですが、最も危険なのは「説明義務違反」、言い換えれば「顧客に最適な有利選択をする機会を与えなかったことによる損害賠償」です。
「有利選択」というと、消費税関連の届出や租税特別措置法の特例などがイメージされますが、裁判所は税理士の義務の範囲をもっと広く解釈しています。
実際に「世の中にあるあらゆる選択肢の中から最適な有利選択をさせる機会を与える義務が税理士には当然にあり、もしそれを怠った場合は有利選択をさせなかったことで増加した税負担全額の損害賠償が認められる」という趣旨の判決まで出ているのです。
さらに「説明義務違反」の場合、損害賠償は延滞税や過少申告加算税などにとどまらず本税も含まれるため、損害賠償額が巨額になる傾向があります。今回はこの「説明義務違反」が問われた2つの裁判事例に基づき、税理士の義務はどこまで広がっているのかという点について分析していきます。
金井 義家 氏
公認会計士・税理士・中小企業診断士
現在、日本公認会計士協会東京会研修委員などを務める。著書・執筆多数。